指定研修機関インタビュー(リコージャパン)

2023年10月2日掲載

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プライバシーマーク制度では、審査員に必要な知識・技能について研修を行う「指定研修機関」が3機関あります。今回、一番初めに「指定研修機関」になられたリコージャパン株式会社(以下、リコー)へ、研修機関となられたきっかけや、これからのプライバシーマーク制度についてお話を伺いました。お話をお伺いしたのは、現在リコーでプライバシーマークの研修に携わっている5名です。

  • 辻井 葉子 様(経営企画本部 人材開発センター 能力開発企画室 室長)(写真:左2)
  • 芦田 隆太郎 様(経営企画本部 人財開発センター 能力開発企画室 コンサルティンググループ リーダー)(写真:左端)
  • 森川 千惠美 様(経営企画本部 人財開発センター 能力開発企画室 コンサルティンググループ)(写真:中央)
  • 入山 紗耶香 様(経営企画本部 人財開発センター 能力開発企画室 コンサルティンググループ)(写真:右2)
  • 矢島 大 様(経営企画本部 人財開発センター 能力開発企画室 コンサルティンググループ)(写真:右端)

指定研修機関インタビュー

セキュリティでお客様の企業価値向上に寄与すること

研修機関になられた背景・経緯などを教えてください

辻井
JIPDECが2008年にプライバシーマークに関する研修機関を募集していました。私たちには「セキュリティでお客様の企業価値向上に寄与すること。それを通じて日本の情報セキュリティレベルを高めること。」というチームミッションがあります。プライバシーマークの研修を通じて、日本のセキュリティレベルの向上に寄与することができるのではないかと考え、リコー(当時:リコー・ヒューマン・クリエイツ株式会社)として挑戦することになりました。

指定研修機関第1号として、立ち上げ時の苦労などはありましたか?

辻井
審査員研修という制度が始まったばかりでしたので、すべてが手探りでした。当時は事業者が参照するガイドブック(個人情報保護マネジメントシステム導入・実践ガイドブック)も今ほど充実した内容ではありませんでしたし、参考とする研修テキストもありませんでした。また、今はJIPDECや指定審査機関と頻繁に意見交換や相談をしたり連携を密にさせていただいていますが、当時は、そうした機会はあまりありませんでした。研修の内容についても、どのようなものとすれば審査員のためになるのかまったくわからない状態で、毎回の研修をブラッシュアップしていき、いまの形になった、という流れです。当時は大変でしたが、最初の研修機関になろうということを目標にしており、全員が一致団結し、短期間で準備をしたので、とても充実感がありました。

指定研修機関となった当時は、プライバシーマークの取得企業数も少なかったですし、関連書籍もあまり出ていませんでした。そのため、受講生が「研修でいろいろ吸収しよう」という姿勢・意欲がとても強かったなと記憶しています。また、当時の研修の先生方はとても厳しい方であったことも覚えています。今は全然そんなことはなく、緊張感を持ちながらも和気あいあいとした研修となっているので、そういう点で心配をされている方はぜひ研修受講していただけたらなと思います。

研修機関になった反響はいかがでしたか?

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辻井
当時は毎月研修を実施していましたが、毎月目標受講者数は超えていました。審査業務に携わりたい(審査員になりたい)という方と、事業者内でプライバシーマークの事務局を担当しているから研修を受講したい、という方がいらっしゃいます。当時から需要はとてもありました。

矢島
これまでの述べ参加者数は、「審査員補研修」と「フォローアップ研修」併せて5500人に届く程度です。最近ではフォローアップ研修参加者の属性などを確認していますが、半分程度は審査員補の方々のイメージです。

「来年もオンラインでぜひ」という声

講師としてのやりがいを教えてください

入山
5日間研修があるので、初日は緊張した表情の方が多いのですが、日を追うにつれ表情が和らいでいくのを目の当たりにすると、講師と受講者双方でコミュニケーションができているのかなという実感が得られます。それがやりがいの1つです。また、事業者から来ている受講生の中には「先輩に薦められて」という方もおられて、研修機関としてはとても嬉しいです。

森川
受講生同士で意見交換をしたりもしていて、受講者同士で知見を高めあっているんだなと、とてもやりがいを感じます。また、研修後に受講生から「研修のこの部分が、実際に役立ちました」というメールをいただくこともあって、そういうメールはとても嬉しいです。

十数年で、受講される方に変化はありましたか?

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辻井
大きな変化はありません。ただ、個人情報保護法の定着や、インシデントが昔よりも大きく報道されるようになったことなどから、「個人情報保護は当たり前にすべき」という認識の方々が、過去と比べると多くなったという印象があります。

森川
質問のレベルが上がってきているなと感じています。例えば個人情報保護法の改正が行われたタイミングもそうでしたが、受講生がすごく勉強したうえで研修に臨んでくれるなど、ここ数年は特に皆さん積極的にご参加いただいている印象があります。

十数年での、指定研修機関としての変化を教えてください

矢島
従来は集合研修という形で研修を実施していたので、コロナへの対応が一番大きい変化です。事務局・受講者双方が使い慣れていなかったシステムを使って、突然「オンラインで」という形になったので、1年くらいはとても大変でした。一方でもちろん良い点もあり、特に地方の方々からは「来年もオンラインでぜひ」という声もいただけたりして、とても勉強になったコロナ対応でした。

入山
オンラインでの実施では、双方でコミュニケーションを取る、というのが大変でした。オンラインでも集合研修同様、初日に参加者同士での自己紹介の時間をもうけたり、受講者に発言を求めたりするなど試行錯誤を続けてきました。 オンラインになると講師や事務局としては、機材トラブルに気を付ける必要があったり、参加者の表情が見づらかったりするので、体力的にはオンラインの方が疲れますね(笑)

受講後の反応はどういったものがありますか?

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芦田
ポジティブな感想をいただくことが多いです。「JISや構築・運用指針を体系的に学ぶことができる」といった意見や「もっと学びたい」など、嬉しいご意見が多いです。また参加者間でのコミュニケーションもあり、「自社のPMS運用しか知らなかったが、他社の事例を聞くことができて参考になった」という声も聴きます。

矢島
コロナ禍になり、オンラインではMicrosoft Teamsを使っています。ブレイクアウトルームなどの活用で、オンラインで一方的に講師が話し続ける形をやめたところ、非常に盛り上がるようになりました。

お客様の「"はたらく"に歓びを」というビジョンの体現

プライバシーマーク研修事業に取り組まれている意義を教えてください

辻井
まず、セキュリティ業界や個人情報保護の機運を盛り上げる一躍を担っていきたいと、使命感を持って取り組んでいます。また、リコーとしては自社を「デジタルサービスの会社」と定義しており、そのうえで、デジタル化やDX支援を通じて、お客様の「“はたらく”に歓びを」というビジョンを持って活動を続けています。今後、様々なものから個人に関わるデジタルデータが取得され、より一層カスタマイズされた情報の利用が加速していくと、いま以上に個人情報を取り扱うお客様が増えてくるかと思います。そのとき、デジタルサービスの会社として、プライバシーマークの研修機関であるということが、リコーのブランディングにもなっているのではないかと考えています。だからこそ、これからも研修機関としてプライバシーマークを盛り上げていきたいなと思っています。また社内的には、各地で個人情報保護について支援できるよう、個人情報保護に関する知識を持ったメンバーを増やしていきたいです。

今後のプライバシーマークへ、期待などを教えてください

辻井
審査員補の資格を、一般的な資格の中で存在感を出せるようになると良いなと思っています。個人情報保護やセキュリティで生きていくことを目指す人の目標になっていってほしいです。

森川
様々な世代の方にご参加いただいている研修ですが、今後は審査員を目指される方はもとより、企業内で個人情報保護の役割を担っていただける方々、特に次世代の皆様にも広くご参加いただけると良いなと思います。

お問い合わせ

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
プライバシーマーク推進センター

〒106-0032
東京都港区六本木一丁目9番9号 六本木ファーストビル内

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