審査員インタビュー

2023年6月5日掲載

プライバシーマーク制度では、事業者から提出いただく書面の審査(文書審査)、そして事業所にお伺いして実施資する審査(現地審査)によって、個人情報の取扱い等について審査を行っています。実施に審査を行う審査員へ、「審査員について」や「これからのプライバシーマーク制度」についてお伺いしました。お話をお伺いしたのは、2011年からプライバシーマーク審査員としてご活躍されている杉本裕一様です。

杉本審査員インタビュー

多角的な視点で見た"気づき"をお伝えすることがやりがいの1つ

審査員になられたきっかけはなんですか?

審査員になる前は、企業でISOの取得・運用を行う担当者(審査を受ける側)でした。ちょうど、プライバシーマーク制度が創設された1998年のことです。その後、2009年頃にISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の審査員になろうと研修を受けていたところ、プライバシーマーク審査員の研修が行われていることを知り、受講しました。当時は研修機関としてJIPDECとリコージャパンしかなかったのではないかと記憶しています(現在は、リコージャパン、グローバルテクノ、関西情報センターの3機関)。元々ISOの担当者だったので、プライバシーマーク制度の審査についても違和感はありませんでした。気が付いてみると、プライバシーマーク審査員が中心の生活になっています。審査員補から審査員になるまで1年3か月くらいかかり、2011年から審査員として活動しました。約3年後に主任審査員となり、同時に研修機関のグローバルテクノでの講師を務めることとなりました。

長年にわたり審査員としてご活躍されていると思いますが、初めての審査時と比べ、ご自身で変化したことなどはありますか?

これまでに435件(2023年4月末時点)審査を実施しています。これまですべての審査で緊張感を持って取り組んできました。ただ、初めての審査は、いま思うと稚拙だったなと感じますね。件数を重ね、実績を重ねて、10年以上やってきました。

多くを主任審査員として活動していますが、特に審査員とは責任の重さが違うので、その分、緊張感は増します。仮に審査で不備を見落としてしまうと、それが原因で審査を受けている事業者や、その事業者のサービス利用者の方にも迷惑がかかってしまうことがあるかもしれない。また、プライバシーマーク制度の信頼にも関わってきます。なので、見落とさないように、という緊張感は、主任審査員の方があります。

審査員としての「やりがい」を教えてください

審査が終わった際などに、事業者のご担当者から「こういうことがタメになった」ということを言われたときです。以前は、例えば指摘事項などに抵抗がある事業者の方もいらっしゃいましたが、特に最近は個人情報に関する世間的な意識が変化しているためか、「厳しく見てください」と言われることもあったりします。また、指摘を改善のチャンスと捉えていただく事業者も増えている印象です。そのような際に、多角的な視点で見て、気づきなどをお伝えすることが<第三者認証制度>の審査員としての役割の1つだと思うので、そのような点をお伝えすることができた際がやりがいの1つです。

常に情報をアップデートしていなければ、審査できない

審査員として大変なことを教えてください

国内の個人情報保護法の改正はもちろんですが、世界的にも色々と環境が変化しています。常に情報をアップデートしなければ審査に臨むことができない、というのが一番大変ではあります。特にJIPDECは、審査対象を業界・業種で限定していないので、様々な事業を営む事業者の審査を行う必要がある、という難しさがあります。そのため、日常的に関連知識のレベルアップを図っています。プライバシーマークの審査員資格に係る研修の講師を行っていることもあり、研修内での質問の対応などをきっかけに勉強をして、知識を蓄えたりもしています。

個人情報保護に関する世間的な意識の変化などを感じることはありますか?

強く意識されるようになってきたという印象です。個人情報に関連した事故が起きた際の事業への影響や社会的な反響の大きさなどを、事業者が強く意識しているのだろうと感じています。
事業者の代表者から、審査時に「取得のための取り組みは大変だったけど、取って良かった」などという言葉を聞くことも増えました。個人情報保護法の改正で罰則が強化されたことや、昨今の漏えい事故等に対する世間の厳しい目などから、個人情報保護に関する意識が格段に上がってきているのだろうと感じています。

そのうえで、プライバシーマークを取得する目的についても、「取引拡大のためにマークが欲しい」という事業者のほかに「内部統制のために」であったり、社会的影響を鑑みたうえで「お客様の情報を適切に守るため」であったり、そういった意味でマーク取得を目指される方が増えているように感じています。

プライバシーマーク審査員は、こういう人にオススメ!

向学心がある方が向いているだろうなと感じます。探求心があり、積極的に世間の動向などを自ら勉強したり、あるいは審査についても、より良い形を模索するような方が審査員には向いていると思います。事業者や世の中の役に立つ存在として向き合うか否かが大事だと思います。

審査員同士のつながりはありますか?

コロナ禍前はありました。審査員同士での勉強会なども実施していました。コロナを経て集合形式のものは無くなりましたが、わからないことは他の審査員に質問する、あるいは意見を聞いてみることはしています。事務局内は質問しやすい空気感・雰囲気ですね。

社会的に認められる制度として、より良いものに

これからのプライバシーマークへ期待することはなんでしょうか

様々なルールや規格をはじめ、社会情勢の変化が著しい中、ルールや規格も頻繁に変わるようになっています。個人情報保護の側面で、事業者の期待・要望に応えられる制度として、引き続き存続していってほしいなと願っています。社会的に認められる制度として、より良いものになってほしいと思います。

お問い合わせ

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
プライバシーマーク推進センター

〒106-0032
東京都港区六本木一丁目9番9号 六本木ファーストビル内

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